Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2018年10月2日火曜日

永井豪、桜田吾作『死爵の館』


永井豪、桜田吾作『死爵の館』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆


☆満点作品です!

「女性セブン」連載作品、という連載誌からして異様な作品なのですが、
これを妙齢の女性に読ませようと思ってたなんて、マーケティングがおかし過ぎですよ永井先生!!…いや、でも昨今のレディコミも時たま信じられないほどの残虐描写が出て来たりもするし、案外合ってんだろうか…?

道家千津は会社勤めの普通のOLであったが、元学友にして職場である会社の社長令嬢・麗子のわがままで、彼女の婚約パーティーに引き立て役として連れて行かれる。会場で、麗子にイイように人間としての尊厳を奪われてしまう麗子であったが、そんな彼女に救いの手を差し伸べたのは、婚約相手の竜彦。急転直下、二人は恋に落ちて結婚にまで至るのだが、結婚式でのケーキ入刀の際、ケーキの中から麗子の生首が出て来る!!
…自分で自分の首を入れたようなのですが、その後も麗子の呪い・祟りは二人の築いた家庭に降り注ぎ、一家は全滅の淵に追いやられる。

麗子がとにかく信じられないほどの陰湿さで、生きてても死んでても千津を追い詰めまくる、滅茶苦茶なリベンジストーリー。…リベンジというか、延々逆恨みなのですが…。

なのでストーリーはほぼ無いに等しく、麗子が無茶苦茶なパワーで二人に攻撃しまくるだけ。結末も中々見ないほどの救われなさ。
ホラー漫画としての状況描写がイイという訳では無いのですが、
麗子の予想出来ない怨念パワーの呼び込む結果、またそれによって読者・千津と家族たちの眼前に現出する地獄。これらの「予想を裏切る描写」において、「状況:☆☆☆」なのです。
よって、巧みなストーリーテリングを求める方・精神的にグロテスクな描写が耐え難い方は読むべきでは無い作品。

どんな形であれ、「こちらの予想を上回る意外性」を求める方ならば、きっと楽しめるかと思います。…いや、「楽しい」かなぁ…。



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