Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2026年5月20日水曜日

きもとのりこ『私が死ぬ』

怖さ:☆

造型:☆

状況:☆☆ 

きもとのりこ電子限定作品集。

ホラーM掲載作品集ながら、ゲーム好きの娘・ゲーム脳を憎むあまり娘に辛く当たる母の「コンティニューゼロ」、誕生日を祝う同級生と親との間で板挟みになり最悪の誕生日となる「最後のゲーム」、死ぬのが怖くなくなる薬に依存してしまう「私が死ぬ」、自己犠牲を選べなかった人間に社会的リンチを加える「それが勇気」、どうしても片付けられない女の子がそれ故にいじめ・家庭崩壊を引き起こす「できない」、ある日突然戦争が始まりただただ全てを無意味に奪われる「なにもない」等々、収録11作の大半が、問題提起・人間特性を描くに留まっており、「ホラー」というにはちと厳しい…という作品集。

ですが、中には、優れた脳外科手術が産まれたために怒りっぽさ等を手術で治せる様になった世界・けれども片方を立てればもう片方が立たず…な「脳整形」、どうしても努力してバドミントンが上手くなれない部員達が異様な湿疹を産む努力出来る薬を摂取する「上へ行く」、というプラスアルファな作品も。

また、最後に収録された「潜むもの」は、部屋に現れた不気味な生き物を誤って踏んでしまうものの、遺骸?残骸?が見当たらなくなり、そのまま日常生活にそいつの不気味な影を感じ続ける…というもの。踏んだ時の厭な感じだったり、まだ部屋に居るのでは…という不安だったり、だけでも良ホラーなのですが、そいつが引き起こす事象・またそれに対する主人公の生物としての反応を描くオチ。予想外。この短編、きもと先生の作品中でも、ベストホラーやも。




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