Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2016年10月23日日曜日

森野逹弥『漫画巷説百物語』


森野逹弥『漫画巷説百物語』
怖さ:☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆

「水木絵柄」の作家としてはドリヤス工場・森野逹弥が挙げられますが、ドリヤス工場はパロディとしての水木絵柄であるのに対し、森野逹弥は10年以上も水木プロに勤めた、習慣というか、リスペクトとしての水木絵柄。

ただ、「絵が似ている」だけで、路線としては師匠筋の水木サンよりも、「怪奇漫画」ではなく「ホラー漫画」寄り。
そんな彼が京極夏彦の人気シリーズ「巷説百物語」をコミカライズするとこうなる。

うまくたちゆかないこと、いわゆる「難事件」を色んな人物達がよってたかって打ち払ってしまう、勧善懲悪ものがこの「巷説百物語」シリーズなのですが、事件自体は解決しても晴されない人間の恨みつらみを、代わって打ち払うのが又一率いる主人公チームの役割。
その事件の様子も払い方も、実に「妖怪」的な手応えの無さで、そこに非常に水木絵柄を得意とする森野逹弥さんの手法が、実に実に馴染む。

ただ、原作が元々、というか京極夏彦作品の怪しげな雰囲気は基本的に全て人間が作り出すもの、という柱が通っているため、大体は「解決」されてしまうところがホラーとしては惜しい・ホラーではないところ。

エンターテイメントとしては一級品なので、原作ファンの方・もしくは原作が分厚くて読めないよーこんなの枕だよーと情けない声を挙げている方、是非ともこちらのコミカライズ、オススメです。
なお、アニメ・ドラマも非常にクオリティ高くし上がっているので、そちらもオススメ。


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