Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2016年11月18日金曜日

杉戸光史『牙少女』


杉戸光史『牙少女』
怖さ:☆
造型:☆☆
状況:☆☆☆

表紙・タイトルからは想像し難い、吸血鬼ホラー→裏テーマは神と悪魔の戦い。

杉戸光史先生は浜慎二先生と並んで、割と「まとまりのいいホラー漫画を量産している」ことで、やや人気の薄い作家。
ですが、杉戸光史先生は浜先生よりはちょくちょく変な要素を漫画に持ち込んで来ます。その「変さ」が存分に楽しめる作品の一つがこの『牙少女』。

言ってしまえば本作は「杉戸光史版へび少女」とも言うべき作品なのですが、楳図かずおさんのそれと違い、前述した「神と悪魔の戦い」が見え隠れすること、またところどころでキャラクターの性格や行動のリアリティがないこと(これで結構怖さが薄れる)から、明らかにへび少女とは違う作品であることを読者に印象付けます。

下の画像2枚目は本書中でも俺が際立って好きなコマ。
何とも言い難い表情で以って横顔を見せる牙少女。そこへ覇気の無いポージングで殴り込んで行くお父さん。緩みと緊張が、力を産む。…いや、緊張はこのコマには無いのか…?

いや、でもとにかく、ひばりの良さ・杉戸光史先生の良さがギュッと詰まった本なので、ひばり書房に興味を持ち始めた方は是非手に取るご検討を。






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