Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2025年6月5日木曜日

工藤正樹『現代恐怖館』

怖さ:☆☆

造型:☆☆

状況:☆☆

『年刊誌 怪奇』の主催者による、自費出版ではあるものの「工藤正樹ホラー作品集」としては最初の本。著者が2010年代に同人誌で発表した作品を2016年にまとめたもので、プロローグ・エピローグを描き下ろした全12篇で構成されます。

何処か懐かしい、独特な絵柄(初期福満しげゆき?「学校の怪談」の楢喜八?)で進行する、サイコホラー短編集。冒頭から「現代の恐怖…幽霊?妖怪?いやいや、人間だぁー」と漫画でかっ飛ばされてますが、「現代」「人間」を前面に感じる作品集です。のちに初の商業単行本『断罪』の巻頭にも収録されましたが、人間の意地汚さと執念とを短編1作に入れ込んだ「約束」が好きです。

収録作に通底する、発狂すると容赦ない顔を覗かせるフツーの人間、という皮膚感覚の近さ・怖さ。


 

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