高港基資、高橋洋『女優霊』

怖さ:☆☆☆

造型:☆☆☆

状況:☆☆☆

☆満点作品です！

中田秀夫監督・高橋洋脚本映画「女優霊」コミカライズ。

…基本的にメディアミックスというもの、どれだけ新たに参加する作家が優れたもの・時間や質的クオリティが投入されたものであっても、「元々の作品を違う媒体で説明してるだけ」になりがちなのですが、一定人間が演じたものを絵で表すこと・止まっていた絵を動かすこと・喋るセリフとしては長過ぎるセリフや心情描写を文字で表すことで、「違う媒体で表し直した意味」が生じて、作品そのものの魅力を増すメディアミックスになったり、元の作品以上の魅力を持った派生作品になったりする事があります。映画原作に対して少し失礼ながら、本作はその後者の例のひとつ。

原作も決して悪い作品では無いというか、良質なホラー映画でありつつも、実写映像として表す事で高橋洋が本来表したかった「撮影所の上空に在る不明瞭で巨大な闇たる"三重"」が絵的にそこまでの重量を持たないこと、また本作の「幽霊」的なものを人間が演じる事で少し凄みが薄れてしまうこと、で減じていた作品の魅力が、この表紙からも存在する「高港スマイル」とでも言うんでしょうか、高港作品に頻出する厭な顔・雰囲気で以って、見事に補完されています。

ダメな擁護の仕方をしてしまってますが、決して映画も悪い作品では無いです。では無いんだけども、設定的部分での差異もありますし、「メディア形式の表し方による差異」も在るので、映画・漫画、どっちかが気に入った方は、是非もう片方にも触れてみましょう。