Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2024年12月18日水曜日

高橋葉介『師匠と弟子』

怖さ:☆

造型:☆☆

状況:☆☆

タイトルの通り、無敵の霊能者たる「師匠(せんせい)」の家に、仕事である除霊の体で捨てられていった不義の子「弟子(ぼく)」が、師匠の仕事ぶりを見ながら弟子として少しずつ成長していく連続怪奇譚。…ではあるものの、師匠の無敵感・飄々とした振る舞いは、ほぼ夢幻さんの別スキンと言いますか…。

近年、高橋先生の作品を出てすぐバッと手を出しにくくなっており、本作も買い逃していました。

一話毎の怪奇譚としての質は非常に高く、年を重ねられた高橋先生であればこその絵の妖気も素晴らしいものの、全体としてはホラーともファンタジーとも言い辛い、コメディチックになってしまうのが惜しいところ。

とはいえ、本作の「捨てられた子」と「現実社会から隔絶した暮らしを送る保護者」という関係性を、一通りのエピソードを描いたあとに、ラストを「前日譚」「前・前日譚」「後日談」という3話で締め括る構造は、素晴らしく美しいです。高橋葉介ファンならきっと読んで損の無い作品。

なお、他作からのゲスト出演・また『怪談少年』3冊の単行本に入り切らなかった番外編2話の収録があるため、ファン的にはそこも嬉しいところ。



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