怖さ:☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆☆
三原順、最後の短編集の表題作。
父母・三人の兄達は皆、明るく仲良しで精力に満ち満ちており、主人公は本来愛していた孤独な時間と読書を諦め、家族に恭順・擬態する生活を送っていた。しかし、母は主人公のその馴染め無さや悲しみを見抜いており、冒頭は母が娘を精神科医に診せに行く所から物語が始まる。
娘が伴侶を持ち子どもを持つ頃合いに、母は衰弱して亡くなるも、その最期に、しっかり主人公に「呪い」を掛けてから旅立って行く。
本作はホラー漫画やイヤミスという訳では無く、虐待や怪奇やがあるでも無いのに(とはいえ最終盤に怪奇事象が起こり、それによりオチの最悪さに花が添えられます)、あまりに精緻に「居心地の悪さ」が描かれる事で、ヒトコワの様な域に(「笑顔」は重要なキーワードと言えましょう)。
まずバッドエンドではありますが、「ホームラン」(…とはいえバットにボールが当たって無いのに何故か点が加算される、といった不可解さ・不気味さ…)と言って良いほど、バットを全力で振り切った様な余韻が残り、素晴らしいです。
本作含め全四作、いずれも、作家のその描き方の精緻さにより、何とも何とも、不気味な…。


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