Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2025年1月14日火曜日

谷弘兒(陰溝蠅兒)「摩天樓の影」

怖さ:☆

造型:☆☆☆

状況:☆☆

クトゥルフトリビュート的短編。『クトゥルー倶楽部』掲載、他単行本未収録。

1926年のニューヨーク、Mr.H・P・LはMr.ウェイトリーにお願いして「あの世界」へ一時連れて行ってもらう。…原稿に記載された日付から2ヶ月後にこの本は刊行されていますが、谷先生、これだけ細密に描かれた作品を一体どれ程の期間で仕上げられたものか…?本作の評価が、本誌で完結しているのはあまりにも惜しい。

黒装束を脱いだウェイトリーの折衷的デザインも素晴らしいし、「あの世界」への道行の幻惑感もとても素晴らしい。NY地下に広がる、壮大な想念の世界。

単体作品としては、描画の素晴らしさに反してあまりにストーリーは一発ネタ的・尻切れトンボな作品ではあるものの、この特集ムックの巻頭作に配された作品としては、無上の祝砲、といった感じ。



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