怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆
☆満点作品です!
自分にとって不変・絶対であると信じ込んでいた現実が、あっさり変わってしまう恐怖。
膨大な作品数、数多の復刊企画を以ってしても2025年現在まだ雑誌のみ掲載、な作品の残るジョージ秋山先生ですが、意外にも「ホラー漫画」と言える作品は少なく(トラウマ、猟奇/残酷、主人公/読者の自意識を揺さぶる作品には枚挙にいとまが無いものの)、「長編ホラー漫画」としては本作が唯一では無いでしょうか。
未就学児らしい少年・潮は優しい父母に囲まれて3人で幸せに暮らしている。…筈だったが、街で見知らぬ男に「お前が幸せに暮らせるのは今のうち」と不穏極まりない声を掛けられる。
永井豪「ススムちゃん大ショック」にも似た、主人公が子どもであるが故に「知識や経験が無く作品世界全体で何が起きているか分からず目前の出来事にしか対応出来ない」「物理的に大人に力で敵わない」という構造に加え、「ススムちゃん」には無かったミステリーチックに散りばめられた物語の要素・当時社会的問題意識が在る作品。
…その「子どもであるが故に」を撥ね退けようと頑張る潮の姿に、扉では「愛とサスペンスドラマ」なんてアオリが載っていますが、まぁそれを何とも無情に撥ね退け返す残忍な物語・結末よ…。
なお、のちに角川ホラー文庫より、同名タイトルにて「フィッシュ・ラーゲ」を併録しての文庫化となりますが、角川ホラー文庫の統一フォーマット的装丁もあって、オリジナル装丁で本を持つこと、の価値はあるかと。
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